こんにちは!やす(@YasLovesTech)です。ここ1ヶ月ほどFastlyという「CDN」を提供している会社を調査し、今後も伸びていきそうだなと考えてますので、Fastlyの解説記事になります。Fastlyの投資を検討している方は是非、参考にしてみてください。また、決算資料は以下のリンクにあるので是非みてみてください。
投資は自己責任でお願いします!
Fastlyとは?
Fastlyとは、CDN「Content Delivery Network」というサービスを提供して、昨今急成長してきた会社です。最も、FastlyはCDNだけではなく、長期的にはエッジコンピューティングのプラットフォームを目指しています。
2020年Q1決算
売上:$63M(約69億円) 前年同期比 38%成長
エンタープライズ顧客数:297社(前Qから9社増)
エンタープライズ売上比率:88%
エンタープライズ平均売上:$607k ( 約6600万 )前Qから5%アップ
粗利益率:56.7%
上記がFastlyの2020年Q1の決算概要になります。新興企業らしく素晴らしい成長率ですね。特にエンタープライズ中心に売上げているのでSaaSでもかなり安定的に売上を確保できることが期待できます。
株価も、5月の決算を受けて急成長し、過去1年で123%成長と化物成長を遂げています。正直、私も決算までは注目してなかったのですが決算を受けて注目するようになりました。
CDNとは?
CDNとは、「Content Delivery Network」の略で古くは2000年代から存在している仕組みです。人々がウェブページにアクセスする際に、静的コンテンツ(画像、動画、記事)などを人々の近いところにキャッシュする仕組みです。
例えば、とあるニュースサイトにアクセスした時に、記事の内容や記事に使われている画像はほとんどのケースで全てのユーザー共通のコンテンツだと思います。その際上記図のようにニューヨークや、アムステルダムから、例えば東京のメインサーバーにアクセスするのはサーバーの負荷、アクセスのスピードの観点から非常にパフォーマンスが悪いです。CDNは、一定のルールに基づき、ニュースサイト運営者に代わりにコンテンツを東京のサーバーからキャッシュ(一時保存)し、ユーザーの近くのサーバー(ニューヨーク、アムステルダム)からコンテンツを配信する仕組みです。
この仕組みは、静的コンテンツを配信するのに適しており多くの競合がいます。今でもシェア1位はAkamai、そのほかAmazon Cloud Front, Cloud Flare, Imperva, などがいます。その中で、Fastlyでは顧客数ベースでは第5位に位置してます。
Akamai, Fastly, Cloud Flare 2020年Q1決算比較
Akamai | Cloud Flare | Fastly | |
売上 | $764M | $91M | $63M |
前年同期比(YtoY) | 8% | 48% | 38% |
粗利益 | 20% | 77% | 56.7% |
時価総額(6/8) | $16.78B | $8.86B | $4.90B |
P/S | 5.4 | 24.34 | 18.47 |
決算の数字が比較できる3社を比較すると上記のようになります。成長率、粗利益とともにトップのCloud Flareが株価売上高倍率(P/S)が一番高く、業界のリーダーであるAkamaiが一番低いことがわかります。
FastlyのP/Sは18.47と、売上、売上の成長率から見て妥当かなと判断してます。高すぎず、安すぎずという印象を受けます。最も、38%の急成長を続けているからこそ維持できる数字であって、少しでも成長に陰りが見えればP/Sは10に落ちていくこととなるでしょう。なので、Fastlyがこのまま30%以上の成長ができるか?というところが焦点になります。
Fastlyの強み
私は、FastlyはそもそもCDNというマーケットではなく、エッジコンピューティングの先駆者という見方をしています。その点で、CDNというマーケットシェアの争いに巻き込まれることなく、エッジコンピューティングというマーケットのリーダーというポジションを築いていくと期待してます。
CDNとしての強み
FastlyのCDNはリアルタイムCDNと呼ばれるように、キャッシュの更新性に優れていることが受け入れられてきました。一般的にCDNのキャッシュの更新(アップデートや削除)は数分から1時間近くかかることも多く、キャッシュマネジメントはCDN利用者の悩みの種でした。これは当ブログのようにコンテンツがほぼ変わらないのであれば問題はありませんが、ニュースメディアのように記事の更新や削除など秒単位で更新が必要の場合クリティカルです。
Fastlyはおよそ0.15秒でキャッシュを更新できる強みを持っており、これはCDN業界でずば抜けて早いスピードです。このことから、NewYorkTimesや日経などメディアから好まれて使用されてきました。
エッジコンピューティングとしての強み
Fastlyは自らを「Edge cloud platform」と読んでおり、CDNというポジションニングをしてないようです。Fastlyはいわゆるエッジコンピューティングのインフラ構築を目指しており、2020年6月現在、複数の事業者とβテストを重ね2020年の後半にリリースする計画をしています。
ちょっと記事が古いのですが、画像がわかりやすかったので上記画像と記事を引用させていただきました。
CDNは静的コンテンツ(画像など)に関してすでにエッジコンピューティングの一種と言えますが、動的コンテンツ(パーソナライズコンテンツや画像認識など)はいまだにクラウドで処理するのが主流です。
エッジコンピューティングは上記の画像のように、ユーザーに近いエッジサーバーで動的コンテンツすなわちプログラムコードを実行させる仕組みです。プログラムコードが動けば、エッジで機械学習のコードを走らせることができるのでパーソナライズ化、画像認識、自動運転などの体験がより一層改善していきます。エッジコンピューティングに関しては上記の記事を参照ください。
話はそれましたが、Fastlyはエッジでコードが動くエッジコンピューティングのインフラを目指している点で、他のCDN業者とは一線を画します。エッジコンピューティングはコンセプトこそ過去数年で話題には上がってきましたが、現実的なユースケースやインフラはまだまだ発展途上です。サーバーの王者AmazonのAWSもようやく昨年末にエッジコンピューティングの計画を発表したところです。
エッジコンピューティングのユースケース
こちらのページにいくつか、ユースケースが書かれており、Fastlyのエッジコンピューティングは様々な用途ですでに使われているようです。
例えば、その日のホテルが予約できるHotel TonightではGPSロケーションを使いその近くのホテルをレコメンドをするシステムを提供してますが、ユーザーによって緯度・経度の情報が違うのでユーザーのグループ化が難しく、全てのユーザーに対してクラウドサーバーへのアクセスが発生してました。Fastlyのエッジコンピューティングでは、エッジで適切に近接のユーザーをグループ化し、同じキャッシュを返すということを実現化してます。この処理をするにもある程度のプログラムが必要ですが、これはエッジでプログラムが動いてることで可能になります。
また、認証も本来であればクラウドサーバーで認証されるものですが、Fastlyのケースではエッジで認証が可能なため認証からコンテンツのレスポンスまで高速化できます。
他にも色々なケースが乗ってるので、ぜひウェブサイトを見てみてください。何れにせよ、それぞれ静的なコンテンツをレスポンスする従来のCDNの域をはるかに超えており、動的コンテンツをエッジで処理するエッジコンピューティングのインフラとしてFastlyはポジションニングしていくことでしょう。
高まるエッジコンピューティングのニーズ
エッジコンピューティングのマーケットは2019年に$3.5Bのマーケットサイズでしたが、2027年にかけて平均37%で成長していくと言われています。今後エッジコンピューティングのニーズはますます高まることが期待できます。
例えば、防犯カメラと画像認識をエッジで処理できれば効率的に犯罪を抑止できることが期待できます。自動運転も、エッジから道路状況などを車にアップデートすることによりより効率的な自動運転ができるでしょう。スマホのアプリもパーソナライズされたコンテンツがより高速でブラウジングできる時代がやってきます。
Fastlyはまだシンプルなプログラミングしかできないようですが、Fastlyの成長の先にはこのようなエッジコンピューティングのインフラを支えるリーダーポジションを築いていくことが期待されます。
まとめ
上記のように、今現時点で前年同期比38%と強い成長力を誇っているFastlyですが、CDNというマーケットではなく、エッジコンピューティングというマーケットで戦っているため、CDNのシェア争いに巻き込まれることなく非常にユニークなポジションを今後も維持できることが期待できます。
今後、自動運転・防犯カメラ・ARなどエッジコンピューティングのニーズは高まっていくことが期待されます。その時に最適なソリューションを提供できる数少ない企業の1つがFastlyであり、Fastlyのニーズも高まっていくこととなるでしょう。
このことからセールスサイクルが長くFastlyは数ヶ月で爆発的な成長が望める企業では無いですが、数年かけて長い高成長(30%程度)が期待できる企業になります。
今は、ポートフォリオ持分6%を占めており十分持っているので今現時点では買い増しはしませんが、Q2,Q3の決算をみて買い増しをしていくかどうか考えていこうと思います。P/Sが18程度なので、決して割安とは言えないですが割高でも無いです。上記の通り、30%強の高い成長率が今後も継続して期待できると思うので、1年間で10〜20%ほどの高いリターンが期待できる銘柄だと思います。
今後もよろしくお願いします
ここまで読んでいただきありがとうございます。やすブログでは、テックニュースやテック株の解説記事を引き続き書いて行こうと思います。
特に他のブログでは財務分析に重きを置いてるケースが多いと思います。テック銘柄は数字ではわからない部分が多く、本質的なテクノロジーや産業優位性を考えることがかなり重要と考えてます。やすブログではファンダメンタルなテクノロジーの優位性や成長性などに今後もフォーカスしていきます。
最後に、投資はあくまでも自己責任でお願いします。コロナウィルスは本当に怖いですね。皆様も手洗いなど十分にして気をつけてください。今後も良い記事を書いていきたいので、引き続き応戦よろしくお願いします。
今後ともよろしくお願いします
ブログを読んでいただきありがとうございます。
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FSLY ありがとうございました。 実に素晴らし分析!
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