2019年VRマーケットは売上10倍、300億円に!拡大期へ

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シリコンバレー

こんにちはやす(@Yasushi_1985)です。2月上旬は米国のタックスリターンの処理が本格化しましてしばらく更新が遅れてました。本日はVRを専門とするメディア 「 Road to VR」に2019年のVRのソフトウェアに関する売上の記事が出ましたのでそれに関する解説記事です。2016年にVR元年と言われて以来、2018年までに到るまでに氷河期だの、VRは死んだだの、散々の言われようのVRマーケットでした。ですが、2019年に入り私の周りのスタートアップから話を聞く限りでも明らかに底を打ったと感じさせる話をいくつも聞いてきました。今回はそれを裏付ける非常に興味深い記事が2月12日に発表されましたので解説していこうと思います。

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2019 Was a Major Inflection Point for VR—Here’s the Proof

まず敬意を込めてオリジナル記事の紹介になります。

2019 Was a Major Inflection Point for VR—Here’s the Proof

2月12日に「 Road to VR」に掲載された記事ですが、記事を書いたのはVR投資家で一番有名といっても過言ではないファンドThe VR FundのGeneral PartnerのTipatatが寄稿した記事になります。私自身もTipatatとは良くお話しますが2016年以前からもずっとVRに携わってきており、VR有名タイトルのJob SimulatorやBeat Saberなどに次々と投資をしておりVR関連の投資で彼の右に出るものはいないでしょう。そのTipatatが独自で分析した2019年までのソフトウェアの売上に対するレポートなので非常に読み応えのあるレポートになります。記事によると、ゲームデベロッパーへのインタビューやゲームストアのレビュー数などの相関などから推測しているとのことです

本ブログの画像は全て上記レポートからの引用になります

まとめ

  • 2019年のOculusの売上は143億円(内、Oculus Questが40%約58億円)
  • 2019年のVRプラットフォーム合計売上は約330億円
  • 1億越えタイトルは100本。トップタイトルは40億円の売上
  • VRネィティブのユーザー体験が重要
  • [ポエム]VRマーケット参入の絶好のタイミング。グローバル対応は必須
  • [ポエム]ユーザーはEarly AdopterからEarly Majorityへ
  • [ポエム]AppleとFacebookの次世代機が次の成長の鍵

Oculusの売上は143億円に!

まずはOculusですが、昨年9月の公式発表でOculusプラットフォームの売上累計が$100M(約110億円)を突破したとアナウンスがありました。そのうちの$20M(約22億円)が2019年3月にリリースされたOculus Questによるものと発表してます。記事内では2019年トータルで$130M(約143億円)近くなると推定しています。その値は2018年の10倍近くになる売上であり、Oculus Questの売上比率は9月の20%から年末までに40%(約58億円)に拡大したと推定してます。

2019年のVRプラットフォーム合計売上は約330億円

そのほかのメジャープラットフォーム(Oculus, Steam, SonyVR)を足した合計では2019年に$300M(約330億円)に達するとの推計をしています。2018年までSteamが最大のソフトウェアプラットフォームでしたが、2019年にSony Plastation VR(約121億円)とOculusが大きく売上を伸ばしています。これは私の肌感と一致するところで、周りのスタートアップからもOculus向けとSony Plastation VR向けの好調を良く聴きました。なお、Sony Playstation VRは1月6日に累計出荷台数が500万台を突破したと発表しました。

1億越えタイトルが100本に!

こちらは$1M(約1.1億円)の売上を突破したタイトル本数の遷移です。2017年は40本、2018年は60本でしたが、2019年にはついに億越えをしたタイトル数は100本を越えました。そして記事によると少なくとも1タイトルは年間$40M(44億円)以上の売上をあげたとのことです。おそらくBeat Saberではないかと私は予想してます。

どういったタイトルが億越えになったのか?

記事内ではどういったタイトルが億越えになったのか非常に面白い指摘をしてます。ハイクオリティのいわゆるトリプルエー(AAA)タイトルも多く億越えタイトルとしてランクインしてますが、多くのタイトルは大手パブリッシャーではなくインディータイトルが億越えタイトルとしてランクインしているとのことです。記事内の指摘によると、トリプルエータイトルは有名IPやPCで売れているゲームのメカニクス(特にFPS)をそのままVRにポートしているケースが多く、これらは一定の成果を収めているものの大きな成果にはなってないとのことです。VRタイトルとして一番重要なのは、ゲームの設計・開発段階からVRネィティブのゲームとして設計されたゲームが多くの成功を収めていると指摘しています。VRゲームとして常に人気のJob SimulatorやBeat Saberを見ていればその傾向はなんとなくわかると思います。次に重要なのは、クロスプラフォーム対応をすることも潜在的な顧客を獲得するのに非常に重要な戦略と言及してます。

最後にポエム

いかかでしょうか?これから他のVR関連のデータが発表されてくると思いますが、VR投資家として実績を出しているTipatatによる推計になりますので信ぴょう性は高いのではないかなと思います。ここからはこの記事と併せて私自身が考える&見聞きしたVRマーケットについて書いていこうと思います。ポエムですので話半分に聞き流してもらえればと。

VRマーケットに参入するには絶好のタイミング

まず最初に今までVRマーケットに躊躇していた大手ゲームパブリッシャーやデベロッパーが参入するには絶好のタイミングなのではないかと思います。モバイル時代のタイミングで言えば、ガジェットアプリ(ビールとかパズルとか)の時代は過ぎ去ってAngy BirdやDragonValeがで始めた時期に近似します。ただし、まだ世界でも330億円にすぎないマーケットですので、開発・リリースするのであればグローバルを対象にしないと予算や資金繰りの計算がまだまだ合わないのは事実でしょう。日本国内だけをターゲットとしたゲームはどんなに良いゲームでも開発予算が回収できるほどの売上が立つのは1−2年先になるかなと予想しています。そうなりますと、スタートアップであれ大企業であれその赤字プレッシャーに推されて撤退余儀無くされるのは間違い無いので、参入するのであればグローバルマーケットは必須と言えます。

とはいうものの、上述したようにVRは今までのプラットフォームとは全く違った体験が要求される新しいデバイスです。2020年の今の時期に取り組まなければ数年後にやってくる収穫期に大きな遅れを取ることは免れないでしょう。

また、VRだけではなくそのさきにARも考えると大きな遅れを取ることになります。ユースケースやデバイスの制約は大きく違うものの、3Dモデルの技術やXRデバイスへの体験の作り込みなど見えない知見は多くが共有できるはずです。

スタートアップの参入は少し疑問

資金力/体力のある大企業がVRマーケットに参入するタイミングとしては良いタイミングだとは思いますが、スタートアップが参入するタイミングとしては少し疑問が残ります。

  1. すでに多くのVRスタートアップが存在しており、彼らとグローバルで競合するのはアドバンテージがない
  2. これから大手も参入してくるため競争がより激化してくる。開発費も徐々に高騰してくる

これからはアイディアのみで当てに行く余地が狭くなっていくのは間違い無いと思います。まだまだ大手より自由に開発ができるスタートアップに強みがあるとは思いますが、すでに星の数ほどのVRデベロッパーがいる中で今からスタートアップととしてVRマーケットに参入していくのは少しチャレンジングかな考えています。実際に2019年もいくつもVRスタートアップのピッチを受けてきましたが並みのアイディアではなかなか決め手がないというのが正直な感想です。スタートアップとして参入するにはかつての任天堂のように、脳トレやWiiスポーツなど新たな体験の提案が必須だと考えます。またゲームではなくメディアや動画などの非ゲーム領域はまだまだ参入余地があるのではないかなと考えてます。(出会い系とかまだメジャーどころはない気がする)

上述したものの、私個人としては引き続きVR/ARは注視していきますし、面白い案件があれば前向きに投資を検討していく考えです

ユーザーはEarly AdopterからEarly Majorityへ

実際に私が複数のVRスタートアップからヒアリングした結果を元にするとユーザー層がEarly AdopterからEarly Majorityに徐々に移ってきています。Quest前までは明らかにPCゲームユーザーなど比較的マニア層が中心でしたが、Quest販売以降はカジュアルなユーザーが大量に流入してきたとスタートアップから聞いてます。例えば、Quest前のユーザーはチュートリアルをスキップしたりIT関連の質問はほとんどなかったのですが、Quest後のユーザーはチュートリアルをきちんとこなし、ゲームとは関係ないデバイス自体への質問など明らかにユーザーのカジュアル化が進んでいるとのことです。

鍵を握るのはAppleとFacebookの次世代機の発表

私の個人的な予想ですが、次のマーケットの非連続成長のきっかけは、AppleとFacebookによる次世代機の発表と予測しています。AppleもAR関連の基礎技術のスタートアップを次々と買収してますので、2020年代に何らかのXRデバイスを発表するのは間違い無いでしょう。

それ以上に私が注目しているのはOculus(Facebook)です。昨年のOculus QuestでもARグラスを開発中と発表がありましたし、2月8日にはロンドンベースのARクラウド関連銘柄のScapeを買収しました。FacebookがAR関連技術を加速しているのは間違い無いです。私は今年のF8かOculus Connectで少なくとも次世代機プロジェクトの発表がないかと非常にワクワクしてます。もし発表されたならば、販売は2−3年後になると思うので、大企業を含む投資がさらに加速することは間違い無いでしょう

私自身は今はXRにおいてはFacebookが非常に強いと考えてます。GAFAMで唯一、XR関連のToCプラットフォームを保持しているのはFacebookだけです。VRの先には当然ARがありますが、ARはデバイスそのものの技術だけでなく、エコシステムの構築・ユーザー体験に関するデータなどVRで先行しているFacebookにかなり大きなアドバンテージがあります。

今後もよろしくお願いします

ここまで読んでいただきありがとうございます。今後も良い記事を書いていきたいので、SNSなどで拡散など応援いただけると非常に励みになります。Twitterのフォローやシリコンバレーの情報をお届けするメルマガ登録などよろしくお願いします。

Comments

  1. […] […]

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