こんにちは!やす(@Yasushi_1985)です。今週はいよいよアメリカでも新型コロナウィルスの感染が拡大し、全世界的に猛威を振るっています。今日はコロナショックの後に、シリコンバレーのスタートアップの資金調達がどうなっていくかをリーマンショックのケースを見ながら解説していこうと思います。
本記事の内容は主にシリコンバレーを中心とした解説記事になりますが、日本でも同様のトレンドが当てはまるのはないかと考えてます。
この記事を書いてる私自身はシリコンバレーで5年ベンチャーキャピタリストとしてスタートアップに投資してます!本業でも常にこういったトレンドを追ってますので、今回の記事では本業の知見も合わせて少し紹介させていただきます。
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参考記事の紹介
まずは敬意を表し、今回引用させていただく記事の紹介です。この記事は、Redpoint VenturesのパートナーであるTOMASZ TUNGUZさんが投稿した記事になります。Repoint Venturesは1999年から続く老舗のVCで過去に613件も投資し、133件もExitしている凄腕のVCになります。
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リーマンショック後、復活までは2年かかる
こちらは2006年から2012年までの四半期ごとのUSのVCの投資金額の推移です。この時代は1四半期あたり$5B(5000億円)だったんですね。2019年の実績では1四半期$25B(2.5兆円)ほどです。
上記の図の通りですが、リーマンショックが起きた直後2008年第4四半期に投資金額が$4.4B->$2.9と35%ほど下落しています。そのまま投資金額が下落し続け2009年第3四半期まで低調が続き、再び資金調達が活発になるのは2009年第4四半期になります。リーマンショックから丸々1年はスタートアップの投資状況も厳しい時代が続くことになります。
これを今回のコロナショックに当てはめれば。コロナショックは3月9日を起点と考えてますので、2021年の3月までは厳しい時代が続くことが想定されます。
有名VCであるSEQUOIAも、3月上旬に資金調達が難しくなるのでしばらくは資金をセーブするようにという趣旨のメッセージを投資先に伝えてます。
シードから順に回復するがレイターは時間がかかる
こちらは投資ステージ別の4半期毎の投資金額です。こちらもチャートを見れば一目瞭然ですが、驚くべきことにシードステージはほぼ影響を受けず、すぐに復活します。そしてシリーズA,B,Cと順に復活していきます。
いくつかの仮説がありますが、記事によればレイターステージになるにつれてスタートアップのバリュエーション(時価総額)が高くなり、マーケットの景況感を受けやすい(割高感が出る)というのが理由のようです。レイターステージでは時価総額のダウンラウンドが多く発生することが予想されます。
レイターステージになればなるほどExitまでの期待期間が短くなるため、足元のマーケットが不景気だとIPO,M&Aの何れにせよ早期にリターンを回収するのが難しくなります。投資家側には安いバリュエーションで投資したいという思惑が働きますが、すでにバリュエーションの高いスタートアップや既存投資家との調整がつかず資金調達が難航するという事態になりそうです。
こちらの記事で書いた通り2019年まではレイターステージの投資が肥大化してましたので、今回のコロナショックは2008年より全体の資金調達としては大きく影響を受けるのではないかと考えてます。
ただでさえ、上場後も赤字が続くケースが発生しスタートアップのIPOが疑問視されてた2019年でした。レイターステージでバリュエーションが1000億円を超えており、運転資金が1年もないスタートアップは苦戦が予想されます。
一方でVCにとっては、スタートアップに資金が集まりにくい状況が発生するので比較的低いバリュエーションで投資ができるチャンスが訪れるという見方もできると思います。SeedからSeriesAあたりの投資は良いリターンが得られるチャンスなのではないかと考えてます。
こちらはラウンド毎の調達金額の中央値ですが、シードは変わらないものの、シリーズA,B,Cとレイターになるにつれて調達金額が減少します。これは間接的に各ラウンドのバリュエーションが安くなっていることを示唆してます。
件数そのものは変化せず、Valuation・ラウンドサイズが影響を受ける
最後に四半期毎の資金調達件数です。驚くべきことに件数自体はほぼ影響を受けておらず、リーマンショック後に緩やかに上昇していきます。このグラフが示唆するのは
リーマンショック後に資金調達額は減少するもののラウンドサイズ・バリュエーションが低下することにより件数自体は増えていく
ということを示唆しています。
最後にポエム
スタートアップ
SEQUOIAのメモの通り、向こう半年〜1年は資金調達が難航することが予想されます。ビジネスの良し悪しに関わらず資金が調達しにくくなることは確実だと思いますので、ビジネスの拡大よりも1年〜1年半の運転資金を最低限確保するべく、コストの削減や少額のブリッジラウンドなどを今から計画し生き延びることが何よりも重要だと思います。
資金の出し手であるVC、企業も色々な理由で投資しにくくなるので、2019年のようなややバリュエーション高めのラウンドはクリティカルになりかねないでしょう。親しく付き合っているVCの皆様と今後の資金調達プランを今から検討するのが良いかと思います。
VC、投資家
VC、投資家にとってはまず投資先のスタートアップの資金調達のプランを見直すことが急務になりそうです。最悪のことを想定し、資金調達のプランは安全に練ることが求められます。
一方で、新規投資に関してはバリュエーションが下がることが予想されるので、リターンという意味ではチャンスが訪れます。プロダクト・テクノロジーが真に良い物であれば良い投資機会になることも見込めます。
私自身もシードからシリーズAのエンタメに関してはチャンスと考えてますので、この領域での投資に注力していこうと考えています。
今後もよろしくお願いします
ここまで読んでいただきありがとうございます。全世界で猛威を振るっているコロナウィルス。皆様も手洗いなど十分にして気をつけてください。今後も良い記事を書いていきたいので、引き続き応戦よろしくお願いします。
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