[完全版]2019年シリコンバレースタートアップ景況感

シリコンバレー

こんにちはやす(@Yasushi_1985)です。先日、CBInsightから2019年のベンチャーキャピタルの投資動向のレポートが出ましたのでそちらの解説をしていこうと思います。年末年始でレイオフが多く発生し、株価もバブルではないかと疑うほど伸びていますが、冷静・沈着にスタートアップ界隈の数字を見ていくことは非常に重要だと思います。なお、タイトルはCTRのために(笑)シリコンバレーと銘打ってますが、本ブログでは主にUSを対象にしてます。

CBInsight MoneyTree Report

CBInsightは有料でスタートアップやベンチャーキャピタルの情報を提供しているデータプロバイダーになります。4半期に1回MoneyTreeという世界のベンチャーキャピタルの景況動向のレポートを出しており、今後のスタートアップの景況感をうらなう上で非常に重要なレポートになります。こちらのレポートは無料にも関わらず非常に質が高く敬意を込めてはじめに紹介させていただきます。私のブログがかけるのもCBInsight様のおかげなので本ブログを読んでくださった皆様は是非、メインレポートおよびCBinsightの利用を検討していただければ幸いです。

pwc-moneytree-2019-q4-final : レポートのダウンロード

本ブログの画像は全て上記のレポートからの引用になります

景況感のまとめ

結論から言うと、シリコンバレーを中心としたスタートアップ景況感は引き続き絶好調です

  • USのスタートアップは引き続き調達・Exitともに好調
  • 新規スタートアップ数は減少傾向で、既存スタートアップの大型化が続く
  • 都市ではシリコンバレーがやや成長に陰りが見え、代わりにニューヨークとロサンゼルスが台頭し始める
  • 投資増加の領域はフィンテック、ヘルスケア、保険
  • VCはお金がかなり余っている

資金調達動向

上記の図は、アメリカのスタートアップのトータルの調達額と案件数になります。2018年より若干微減しているものの、案件数が5906件で、総調達額が約11.8兆円。2010年代前半の規模からすると引き続きかなり高い水準をキープしています。なお、正式なレポートは見つけられてませんが各種のデータを勘案すると日本の2019年の調達額は4000億円前後になりそうです。日本の投資額が好調になってきたとはいえまだ30倍近くも投資額の差があり、今後もスタートアップ産業において日本が米国に出遅れる傾向は続きそうです。稚拙な記事ですが、「日本がIT産業でシリコンバレー・中国に圧倒的に遅れてる理由」興味あればも参考にしていただければと思います。

一方で懸念がないわけでもありません。こちらは案件のサイズ毎の件数(一般的にSeed,SeriesAが小規模スタートアップ。B,C,Dとなるにつれて大型のスタートアップとなる)のチャートになりますが、2018年あたりからシード投資の件数は明らかに減少しています。そしてSeriesB以降の大型案件が微増傾向にあり、全体としては件数減&1件あたりの調達額増がトレンドとして続いてます。SeriesB以降の大型調達が続くのは喜ばしいニュースではあるのですが、シード投資の件数が減少傾向なのは非常に気なります。明確な理由はわかりませんが、私の見方としてはモバイルのイノベーションが一巡し、起業家が新しく参入する間口が狭くなってきているという側面があると思います。その結果、それほど大きなイノベーションではなくてもシード投資家が群がるという構図が出来上がっている気がします。VR/AR, BlockChain, SmartSpeakerなどは明らかにマーケットサイズより期待感が大きく上回ったトレンドであり今は落ち着いていますが、トレンドに踊らされた2、3年だったと言えます。2020年は足元では5Gが大きなトレンドとしてあるものの引き続き大きなデバイスなどのイノベーションがないので本格的なARグラスの登場まではシード投資はしばらく軟調が続くのではないかと考えてます

Exit動向

スタートアップが最終的に買収されたりIPOに至ることをExitと言うのですが、こちらは投資家が実際にリターンを得られる環境かどうかの指標になります。

アメリカの企業がスタートアップを買収した件数の推移になります。2018年の701件から減少はするものの、649件の買収が引き続き行われておりExitマーケットは引き続き好調な状態が続いていると言えます。

アメリカのIPOの件数になります。こちらも90件と引き続き好調な状況が続いています

シリコンバレー、ニューヨーク、ロサンゼルス比較

続いて都市間の投資傾向のトレンドを見ていきます。アメリカの投資を見るにあたりシリコンバレーはもちろんですが、ニューヨーク、ロサンゼルスも非常に活発なエリアなのでその三都市を見ていきます。取り上げませんが、ボストンもスタートアップが盛んな都市の1つです

全ての都市で件数自体が減少し、案件サイズが大型化しているのは全体トレンドと同じトレンドですが、調達金額だけを見るとシリコンバレーは2018年から1.5兆円減となるものの、引き続き5.2兆円となり全米の半分ほどの案件がシリコンバレーを中心に起きていることがわかります。一方で、ここ1、2年ニューヨークとロサンゼルスのスタートアップ界隈は明らかに成長してきています。ニューヨークが1.9兆円、ロサンゼルスが0.8兆円となります。これは私の肌感とも一致しており、モバイルをはじめとするテクノロジーのイノベーションが一巡し、大量のエンジニアを抱えなくてもサービスが提供できるようになった結果、もともと豊富なコンテンツやビジネスを保持しているニューヨークやロサンゼルスが台頭してきていると私は見ています。

好調な産業(フィンテック、ヘルスケア、保険)

続いて産業別に見ていきますが、2019年で特に好調(額・成長率)だったのはフィンテック(FinTech), ヘルスケア(DigitalHealth), 保険(InsranceTech)になります。三領域共に専門外で多くは語れませんが、引用している手前オリジナリティを出すために無理やりコメントしてますが話半分でスルーしていただけるとありがたいです(笑)

フィンテック / Fintech

投資領域としては私の専門外になるので多くのコメントはできませんが、投資額は明らかに大きな成長をしてます。また件数も2018年から減ったとは言え、全体トレンドで言えば相対的に新規スタートアップが多い領域であり米国のスタートアップで一番ホットな領域と言えそうです。実際に肌感としてもフィンテック関連の案件は調達・Exitともによく耳にします。2020年の投資領域として個人向けフィンテックは一向の余地はあるかなと考えてます

ヘルスケア(Digital Health)

こちらも投資領域としては私の専門外になるので多くのコメントはできませんが、件数・調達額共に2018年から微減するものの、引き続き高い水準を保っている領域になります。スマートウォッチなどヘルスチェックのデバイスの普及や、癌・糖尿病などの検査が非常に容易になるなど多くの話を聞く領域になります。私ももう少し多く語れるように最低限勉強はしていこうかなと思います

保険(InsurTech)

全くわからない領域で恐縮ですが、まだ投資額の規模からすると大きな額ではないものの全体のトレンドに反して額も件数も大きく伸びている領域の一つです。 今までは、年齢・性別・ライフスタイルなどで画一的にしか保険を提供できず、額面より得する人・損する人が存在してたのは明らかですが、機械学習の発達によりパーソナライズした保険のあり方が提供できているようになっているのが背景ではないかと想像しています。こちらも勉強不足ですので勉強します。

VCの資金調達。金余り??

最後にVC自体の資金調達状況になります。ベンチャーキャピタルも大企業などの投資家から資金を調達する必要がありますが、一度調達すると運用期間は7年〜10年に渡るためVCの資金の保有量は向こう5−10年のスタートアップ資金調達をうらなう重要な指標の一つになります

グラフを見ていただければ一目瞭然ですが2019年は今までの傾向の2倍近く、108兆円もの資金がVCに流れたことになります。傾向として2018年までのVCのリターンは好調トレンドが続き有名VCを中心に資金が集まっていると推測してます。こちらの事実が示しているのは、今後のシリコンバレーやITのトレンドがどうなるかには関わらずVCは投資するための資金は潤沢に準備されている(むしろ投資しなければならない)状況になっています。ですが、今まで述べた通りシード投資は傾向として減少傾向ですので、この資金を消化するために今後も案件の大型化続いていくのは間違い無いでしょう。

最後にポエム

最後に私のポエムで締めくれればと思います。

スタートアップバブルはいつ崩壊するのか?

まずは多くの方が懸念としてあげられているスタートアップバブルの崩壊ですが、各種のデータを見る限りファンダメンタルは強いと私は見ています。今回の資料はスタートアップの資金に関する資料でしたが、今後も資金状況は潤沢な状況が続くのでいきなりスタートアップが調達できず倒産せざるを得なくという状況は考えにくいと思います。またVCサイドも過去の3度の失敗(ドットコムバブル、ITバブル、リーマンショック)を経て投資は非常に慎重になってきています。資金状況は潤沢ですが資金調達のハードルの難易度は上がってきていると感じます。なので決してバブル的に資金がスタートアップに流れてるわけではなく一部の例外を除き強いファンダメンタルに資金が流れていると考えてます。懸念があるとすれば買収サイドやIPOの数字ですが、こちらは大きく伸びてはいないものの引き続き堅調な数字が続いているほか、GAFAをはじめ各種IT企業の収益は引き続き好調が続いているのでその潤沢なキャッシュで持ってスタートアップの買収は続くでしょう。

今後のスタートアップトレンド

上記でも少し触れましたが、テクノロジーのコモディティ化が進みスタートアップが大量のエンジニアを抱えなくても良い時代が到来しています。今人気の機械学習でさえもドラッグ&ドロップでモデルが作れる時代になってきています。今後はこれらのコモディティ化したテクノロジーを使ってビジネス、コンテンツ、ユーザー体験経験重視を重視していくスタートアップが伸びていくと考えてます。上述の都市間の比較でもテックドリブンのシリコンバレーの資金調達の陰りが見え、一方でビジネスやコンテンツを抱えているロサンゼルスやニューヨークが伸びてきているのもそういった背景があるのでは無いかと見ています。私の肌感としてもロサンゼルス界隈のスタートアップの好調をよく耳にするようなってきています。

次のイノベーションは?

今現時点での一番の懸念は、シード投資の件数が減ってきていることです。私見ではイノベーションが一巡し、起業家が新しい領域に参入しにいくい状況が起きているのではないかと考えてます。向こう3−5年は大きなイノベーションは現時点では見えてないので5Gやコンピューティングコストの低下などイノベーションの連続成長下でシード投資の軟調が続くと考えてます。私個人として次大きなイノベーションの転換として考えているのがARグラスです。FacebookもOculusをはじめ大きな投資をしているほか、AppleもAR関連銘柄の買収が続いてます。またMicrosoftもHololensに大きな投資をしています。投資家同士の噂ではありますが、2023-2025年あたりにAppleがARグラスの発表するタイミングあたりでまた次の大きなトレンドが来るのでは無いかと皆ワクワクして待っています。

引き続きよろしくお願いします

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