こんにちは!やす(@YasLovesTech)です。6月上旬のFastly, CrowdStrikeから次の注力銘柄がなかなか見つかりませんでしたが、最近糖尿病向けのサービスを展開しているLivongo Health(以下、Livongo )が非常に面白いなと思ったので、Livongo(リボンゴ)の徹底解説記事になります。
・売上成長率驚異の115%!
・株価は2019年7月上場以来167%成長!
・PSRは26.45とやや割高
・AIで糖尿病のモニタリング
・コロナで追い風!
私自身は6末の大下落でPF保有6%まで買い進めました。Livongoの投資を検討している方は是非、参考にしてみてください。
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総合評価
売上成長率 | 4 ( YtoY 115%) |
プロダクト・トレンド性 | 4 |
将来性 | 3.5 |
財務健全性 | 2.5 |
割安性 | 2 ( PSR : 26.45 ) |
コロナ特需性 | 4 |
財務評価
会社・決算情報
決算情報は超重要です!投資する前にぜひ一読をお勧めします!
売上成長率
2020年Q1の決算では$68.8Mで前年同期比115%成長。2020年Q4のガイダンスが$62Mなのに対して大幅に上回ったため、それが好感して株価が大きく上がりました。売上成長が過去1年を通じて100%を超えているのは素晴らしいのですが、成長カーブのピークはすぎて緩やかに低下しています。2020Q1はコロナ特需もあり大きく上がったのですが、この高成長が今後も続けられるかが大きな鍵でしょう。
なお、過去のデータを見る限りQ1に大きく上がるクセがあります。おそらく年始の始まりでビジネスの予算などが切り替わるためかなと見てますが、2021年のQ1も同様に大きく成長するかどうかの見込みは長期保有する上で非常に重要なポイントになります。またQ2 – Q4の前年同期比は冷静に判断する必要がありそうです。
Q2のガイダンに関してはコロナ特需を受けている最中ではあるので、ガイダンスを超えてくると私は予想しています。その場合のYtoY109%になります。ガイダンスを超えるか超えないか、超えたとしたらどれくらい超えるかは大きな注目になるでしょう。
2019年7月に上場して、それから167%も伸びていますが大きく伸び始めたのは2020年Q1の決算が終わってからです。後述しますが、コロナ特需銘柄の1つとして考えられたため資金が集中したと考えられます。
割安性
現時点でのPSRは26.47です。100%を超える成長をしているとはいえ、このPSRは決して割安ではなく、割高になるでしょう。できれば20以下大きくても25までとしてる私にとってCrowdStrikeに続く割高案件で少し不安はあります。もし、高成長を維持できなくなればPSRは大きく低下したちまち株価は下がるのでQ2, Q3の決算は注目です。PSRって何ということに関してはこちらの記事を参照ください。
ちなみに、時価総額は$7.2Bと、グロース株の中では比較的小さいサイズになります。こちらの一覧を見ていただければわかると思いますが、時価総額$10B, $20Bはゴロゴロいるので、このまま高成長を続けていけば1、2年内に2倍になるなんてことも期待できるかもしれませんね。
財務健全性
売上 | $68.8M |
粗利率 | 73% |
粗利 | $50.7M |
R&D | -$14M |
マーケティング | -$27M |
その他 | -$15M |
営利 | -$5.5 |
フリーキャッシュフロー | -13.4M |
キャッシュ残高 | 219M |
2019年7月に上場してから毎期20M-50M前後お金を燃やしてきたLivongoですが、2020年Q1の売上急増を受けて、キャッシュフローは-13.4Mと一気に改善しました。今まで、R&D, マーケティングは大きく増やしてはいないので、おそらく2020Q2もキャッシュフローは良いものになると想定されます。とはいうものの、キャッシュ残高に対してキャッシュフローのマイナスが依然少し大きいのではないかなと考えてます。
まだどういう影響があるか読めてはいませんが、6月2日に$475Mの社債の発行を発表しています。Q1の時点で十分にキャッシュはあったのでこの時点での調達は理由は現時点で不明です。一応、発表では開発やマーケティングに使うとのことですが、リスクの1つとして把握しておく必要はありそうです。
営利が赤で、R&D, マーケティングに全額突っ込むのは小型グロース企業が利益よりも成長を求めるためであり、それほど気になるものではありません。
ビジネス状況
ビジネス状況はかなり順調です。2020年Q1に会員数は大きく増え、会員数そのものも100%成長してます。ビジネスモデルはサブスクモデルなので1度定着したお客さんは安定的に収益に貢献してくれると考えらます。
現在、交渉中のビジネス契約見積もり額も$89Mと過去最大になっており、このうち35%は1年内に契約がクローズし売上転換する見込みと発表してます。Livongoは個人でも加入することも可能ですが、ビジネスのメインドライバーとなっているのは病院・保険会社などに組み込んでもらうことのほか、会社の福利厚生として使ってもらうのが大きなビジネスの販売先となっているようです。2020年Q1には、政府の福利厚生にも正式に採用されたと発表がありました。
(アメリカは医療保険が民間保険のため、保険のサービスとして予防医療の観点から多種多様なサービスを提供しているケースが多く見られます。Livongoもいくつかの保険と提携しているようです)
プロダクト
お待たせしました!ここからはプロダクト紹介です。Livongoは糖尿病患者向けのヘルスチェックデバイスとソフトウェアを提供してます。こちらの動画を見ていただければなんとなくどんなプロダクトかわかるのではないでしょうか?
上記動画のように、Strip(ストリップ)という棒状のものに血液を少し染み込ませて、簡単に血糖値を測定することができます。専用の端末で血糖値を測定するだけでなく、それらは自動的にLivongoのサーバーに送られ、すぐにパーソナライズされた分析結果が見ることができます。あまり糖尿病のことには詳しくないのですが、運動や食事に関するアドバイスが送られてくるそうです。また、数値に異常が見られる場合はすぐ電話サポートを受けることができ、これらが糖尿病患者に非常に受け入れられているとのことです。
糖尿病が今現在、メインのプロダクトのようですが、そのほか高血圧患者向けのプロダクトもあるようです。大きなミッションとしては慢性疾患をオンラインで効率よく解決することを目指しているように思われます。
マーケットトレンド
大きなトレンドではLivongoはヘルステックというカテゴリに属します。ヘルステックは2010年代後半から注目され始め2020年の今もスタートアップへの投資が続いている超注目領域です。
Global Market Insights社の推定によれば、ヘルステック(デジタルヘルス)は2019年に$106B(約11.6兆)だったのが、2026年までに$639B(約70兆円)、年平均28.5%で成長すると予測しています。
少し、話は横にそれますが、コンピューティングの性能が大幅に上がり、それがクラウド化することにより今までにないくらい安価で高性能な計算ができるようになりました。それにより、血液・排泄物・顔の表情・体温・心拍数などから病気の予兆を安価に診断できるようになりました。糖尿病以外でも特に癌などの早期発見に応用する例などが多く見られます。また、スマートトイレなどの登場によって安価に簡単に病気が診断できる未来がすぐそこに来ています。Livongoはそれの先駆けとなる会社でしょう。
糖尿病患者数の増加
アメリカでも残念ながら糖尿病患者は増え続けてます。推計によれば、 3400万人(人口の10%)のアメリカ人が2020年現在糖尿病を患っており、その数は2030年までに4000万人に達成すると言われています。マーケットサイズというと少し不謹慎ですが、マーケットは確実に大きくなっています。
2020年6月現在、Livongoの会員数は32.8万人。シェアは0.9%ほど。既存の病院も含め競合はたくさんいますがとにかく大きなマーケットなので競合性はあまり気にならないのかなと考えてます。
特にLivongoは今年の4月にコロナ状況下を受けて臨時?で医療機器としてFDA(アメリカの薬とか承認するところ)の認可がおりました。FDAは確かいくつか段階があったと思いますが、今回の承認として病院が医療機器として正式に使うことができます。そして、それは保険適応内になる可能性が高くなります(保険は民間のため別契約)。保険適応になれば患者さんの負担が大きく下がることも期待できます。これはものすごいアドバンテージです。4月に正式承認なのでその後の営業活動の質が大きく変わることに大きな期待が持てます。(病院にFDAの承認降りてるよーって営業できるわけですから!)
規制的にFDAというアメリカの保険当局の承認が必要なためかなり参入障壁が高くヘルス x テック x 糖尿病というカテゴリで戦っている企業は多くはないでしょう。
(競合を少し調べたのですが、ヘルステック、リモート診察が沢山出てきたので直接の競合とは言えなさそうです。調べるのが疲れたというのもありますが、マーケットが大きいので多分大丈夫でしょう)
新型コロナウィルスによるリモート診断の必要性
もともと、急成長してたヘルステック業界ですが、新型コロナウィルスの発生によりその重要性がますます高まりました。そして、これはLivongoのビジネスにも追い風が吹いています。糖尿病のような疾患を患っている患者さんは高齢の方が多く免疫がそこまで高くない方も多くいます。アメリカでは明確に新型コロナウィルス状況下において高齢者は自宅で自粛することが推奨されており、リモート診療の必要性が今まで以上に高まっています。
もともと、病院のアポイントメントが取りづらく高額であったためにこういった手軽にリモートで診察できるサービスが広がってはいましたが、2020年6月現在、病院に行くことが自体がコロナ感染のリスクの1つとして捉えられているので糖尿病患者、病院、保険会社によるLivongoへのニーズはますます高まることが期待されます。
参考までに、以下はQ1決算資料からの引用です。
Livongo is well positioned to provide assistance to some of the most vulnerable populations during the COVID-19 pandemic – people with chronic conditions – and our remote monitoring, digitally powered and real-time personal coaching capabilities, and access to telehealth services are well suited to track vital signs of interest in maintaining the health of our Members,” said Zane Burke, Chief Executive Officer of Livongo. “The COVID-19 pandemic has accelerated the need for new virtual care delivery models like Livongo. We are pleased to announce our relationship with the Government Employees Health Association, Inc. (GEHA), to provide the Livongo for Diabetes, Hypertension, and Diabetes Prevention solutions for federal employees, retirees, and their dependents that receive GEHA medical coverage.
(超意訳):コロナ特需ですごく売れてます!
Livongo 2020Q1決算 : https://ir.livongo.com/static-files/d58aa18e-98cd-4424-ad26-190faa30cd17
まとめ
やす的には、少し割高だなと思いつつPF保有率6%まで買い進めてきました。あまり詳しくない領域ではあるので、Q2の決算が出るまでこれ以上の買い増しはしません。コロナ特需に乗っており、高成長を続けている銘柄なのでPFに入れておいても良いと思いますが、割高という点が少しきになるので3% – 6%くらいの保有率くらいがいいのではないかなと思います。超トレンドのヘルステックを抑えるという視点でも非常に気になる銘柄です。
個人的な推測が入るのですが、コロナショックは3月から本格化したので簡単に導入できるZoomなどに比べ、各企業と個別に契約の締結や予算の確保などが必要なLivongoはコロナ特需の影響が少し遅れるのかなと考えてます。このことからQ2はQ1より良い決算を出してくるのではないかと期待しています。少なくともガイダンスは超えてほしいなと期待しています。ガイダンス通りでも期待PSRは24。もし超えてきたらそれ以下になるので今は26ですが、割安と考えられるのかなと思います。
もし、皆の予想に反して売上が大きく伸びてたらフリーキャッシュフローがついにプラス転換し他の銘柄と同じようにPSR30に近づくこともあるかもしれません。
たとえ、ワクチンが完成したとしてもコロナ感染を避けてできるだけ病院に行かないという生活習慣はしばらく続くのではないかと予想してるので、向こう1年は安定的な成長ができるのではないかと期待してLivongoを保持しようと思います。やはり投資するならこういったコロナ状況下で圧倒的な需要を受ける銘柄に積極的に投資したいなと思います。
まだまだ時価総額が$7.2Bなので、このまま100%近い成長を1、2年続けて時価総額2倍!なんて夢も期待したいですね(笑)
今後もよろしくお願いします
ここまで読んでいただきありがとうございます。やすブログでは、テックニュースやテック株の解説記事を引き続き書いて行こうと思います。
特に他のブログでは財務分析に重きを置いてるケースが多いと思います。テック銘柄は数字ではわからない部分が多く、本質的なテクノロジーや産業優位性を考えることがかなり重要と考えてます。やすブログではファンダメンタルなテクノロジーの優位性や成長性などに今後もフォーカスしていきます。
最後に、投資はあくまでも自己責任でお願いします。プライバシーポリシー・免責事項をよくお読みください。今後も良い記事を書いていきたいので、引き続き応援よろしくお願いします。
ここまで読んでいただいた方、最後に以下のリンクからクリック応援していただけると非常に嬉しいです。
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