2017年7月に発表のあったVR/AR系のシリコンバレー周りのメジャーニュースをまとめようと思います。今後月ごとにまとめらるよう頑張ります!
新しいVR Device発表
7月は全然予想もしなかったVR HMDのリリースが3つあった月でした。興味深いのはどれもスタンドアローンで、今後スタンドアローンがミドルエンドとして大きく拡大していきそうな予感がします
Update: Oculus Standalone Headset To Release Next Year For $200 – Report
1つ目はOculusが$200のスタンドアローンHead Setを年内にリリース予定とのこと。記事では詳しくは書いてないですが、おそらくGearVRと同性能のものと推測されます( トラッキングなし3DoFコントローラー ) 最近、おとなしいOculusですが出荷ベースでは依然No1のGearVR(年初で500万出荷と推定)とがありますし、年末までに期待されるスタンドアローン機器としては1番価格帯も安くコンテンツも豊富なマーケットエントリー端末になることが期待されます。詳細はOculus Connect 4で発表とのことです。
Samsung’s secret VR headset prototype has eye and hand tracking
SAMSUNG PLANS STAND-ALONE ‘ODYSSEY’ VR HEADSETS WITH CRAZY SHARP DISPLAYS
2つ目はSamsung。発売日/価格は不明ですが、SamsungはスタンドアローンのVR Headsetに取り組んでいるとのこと。記事は少々怪しいですが、ハンドトラッキング、Eyeトラッキング搭載の上に、2000ppi (!?)という桁間違ってるんじゃないかと思われる高解像度を積んでくるらしいです(ViveやOculusは400 – 500くらいのはず)。ポジショントラッキングは記載がないですが、おそらく積んでくるでしょう。
もし記事が本当であれば2000ppiという戦い方は非常に面白く、もはや現実と区別のつかない世界が見えそうですね(GPUが追いつかないが、、、)
HTC teases a standalone Vive VR headset for China
3つ目は先月のChinaJoyでの発表です。HTC Viveが中国向けにスタンドアローンをリリースするとのこと。詳細はまた不明ですが、記事によるとGoogle Daydream向けのスタンドアローンと近しいものになるらしいです。ただ、トラッキングシステムがクアルコムのスナップドラゴンを使うのと、プラットフォームがHTCが運営するVive Portになるとのことです。HTC Viveが中国マーケットを取れるか非常に面白いですね。中国はTenentなどもVRに興味を示しており競争がますます加熱しそうです。
新しいAR Deviceの発表
これも全く予想してなかったですが、ARのHMDも発表されました。
daystAR is Lenovo’s New Concept Design For An AR Headset
1つ目がLenovoからdaystAR。これも詳細は不明ですが、FOVが40ほどで視野角はマイクロソフトホロレンズと同等のものになるとのこと。デモンストレーションからうかがい知れるのはまずはEnterprise向けに販売していくという感じになりそうです。LenoveはVRでも年末にTangoテクノロジーをベースとした新しいVR HMDをリリースするのでテクノロジー的にはポジショントラッキングなどその辺りを応用してきそうです。
Disney Joins AR Fray With $200 Star Wars AR Headset
そして、ほぼ同じタイミングでLenovoとDisneyが共同でGear AR的なDeviceのリリースを発表しました。先ほどのスタンドアローンARとは違い、スマートフォンを刺すタイプで$200ほどのDeviceになるとのことです。トラッキングやプラットフォームなど詳細は不明です。コンテンツも強力なStar Warsをまず乗せてくるのでその辺の動きも面白いですね。
Google Glass reborn for the enterprise market
なんと、Google Glassチームが再度結成され、再販されることになりました。今は一般向けには売ってなくバッテリーなどマイナーチェンジしたものをGEなどパートナー企業向けに販売しているみたいです。ARは情報が乗ってくると強力なツールになるのでその点、Googleの動きはまた期待できそうですね。かつてのGoogle Glassと違いDaydreamというVRチームも持っているのでその辺とのテクノロジー的な連携もありそうですね。
資金調達は明暗が別れる結果に
資金調達の面でも明暗が別れる月となりました。
Social VR App AltspaceVR Is Shutting Down
まずはショッキングなニュースがAltspaceVRの閉鎖です。VR SNSの先駆けとも言える存在で、聞いている限りインストールなどはVRデベロッパーの中でも良い方という印象ですが、Free to Playを支えるほどのボリュームはまだなく本格的なマーケット拡大の前に資金繰りができなかったという印象です。少々不運なとこもあり、2015年末の一番VRがイケイケの時にSeriesAを実行したのでバリュエーションが上がりすぎたという側面もありそうです。
Leap Motion nabs $50M for its VR/AR hand-tracking tech
Virtual and Augmented Reality Firm Within Raises $40M in Series B Funding
一方で、ハンドトラッキングのLeap Motionは$50M(約50億円)、VRのコンテンツスタジオであるWithinは$40M(約40億円)、という大型調達をアナウンスしました。2016年に行われた多くのSeed、SeriesA投資が次のステージに移ってきており、その過程で淘汰が進んできているという印象です。今後もSeriesA、Bを上手く実施し2019,2020年まで残れる会社と、資金調達ができずに解散か数億くらいの価格で売却という明暗が別れることになりそうです。ただ、ここで資金調達に成功すれば2019年くらいまで生き残れるのが見えてくるので、そうなれば2019年時点でVRのマーケットがより拡大し果実を独占できるのではないかと考えています。
まだ数字はちゃんと見てないですが、VR/ARへの投資金額自体は2017Q2はレイター中心に金額的には伸びているか、悪くとも横ばいは維持しているのはないかと思います。マーケットは多少悲観が広がっているかもしれませんが、投資は依然他の産業と比べても好調を維持しています
Mobile ARへの期待
The four waves of Augmented Reality (that Apple owns)
最後にDigi-Capのブログの記事です。こちらの記事は今後のAR進化やプレイヤーについてよくまとまっているのでVR/ARに携わっている人は必見の記事です。Digi-Capによれば、ARは以下の4つの進化を経るとのことです
- SoftwareベースのMobile AR ( ARkitなど)
- HardwareベースのMobile AR ( Tangoなど)
- Tethered AR Glass ( 現在のMetaのようなdevice )
- Standalone AR Glass
特にVRと違い、MobileARから入っていきマーケットがVRと比べ物にならない速度で広がっていきます。特にSoftwareベースのARはOSをアップグレードするだけでマーケットにリーチにできるのでARのエントリーポイントとしての期待ができます。
一方でGlassの方はまだまだバッテリーやチップなどの改良が必要ですが、これらも5年ほどかけて一般の人に受け入れらるものになっていくと予想されます。5年も経てばMobile ARにおいてDeveloperへのエコシステムが十分に発達しているのでGlassへのアプリの移行もスムーズに行われるというわけです。
ARに関しては、まだまだたくさんあるので、こちらはCEDECの「シリコンバレー注目のVR/AR関連テクノロジーについて」で話していこうと思うので興味のある人はぜひお越しください。
Mobile ARに関しては僕も鋭意開発中です。非常に面白いですね!これらの知見もCEDECで色々お話しさせていただければと思います。
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