こんにちは!やす(@YasLovesTech)です。今日は株価が過去1年で165%も伸びておりたびたび話題に上がりますが、イマイチ理解度が進んでないフィンテック企業「Square(スクエア)」の記事になります。SquareというとPoSシステムのイメージが強いですが、実際のそのビジネスはかなり広範囲にわたり複雑怪奇です。今回のコロナでビジネスが大幅減速すると思われましたが、別事業のCash Appの大幅成長でその減速をカバーしました。今回はSquareの本当のビジネスモデルを徹底的に解説します。
・Squareの2大事業はPoSシステムとCashApp(個人間送金)
・ビジネスモデルは決済手数料とファイナンシング
・[粗利] 2020年Q2はPoSが減速(-9%)するもののCashAppの急成長(+167%)し粗利合計は+28%成長
・PoSの減速は底をうち、CashAppの成長とともに再度成長軌道に乗ることが期待される
・株価は過去1年間で+165%の急成長企業
決算書はこちらにあります。投資を検討される際は一読をお勧めします(まじで何言ってるか不明ですw)
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Suqare(スクエア)への投資目線
Paypalを超えられるかどうか?
Square(スクエア)の事業、将来性は多岐にわたります。今回コロナ禍で主軸のPoSシステムが減速する中、経済支援金の追い風もあってCashAppがその減収分を大きくカバーした形になります。これを一時的と見るか、それとも永続するかは判断が非常に難しく、一通り分析したものの現時点で企業価値や将来性を十分に評価するのは難しいと考えます。Square(スクエア)へ投資する際の目線はただ1つ、時価総額70BのSquareが時価総額220BのPaypalに追いつき、追い抜かせるか。この2社は必ずしも全ての領域で競合ではないですが、P2P決済というカテゴリで激しく競合してます。その競争に勝ち、2020年を代表とする大型フィンテック企業に成長できるか?というところが目線になります。
ポートフォリオとしての目線
2020年9月時点で、魅力的な投資候補としてのグロース銘柄はざっと見積もっても20-30はあるでしょう。少なくとも投資リターンのパフォーマンスだけを考えた場合はSquare(スクエア)がポートフォリオに加えるべきかどうかというのは議論の余地があります。
ただ、ポートフォリオのセクターのバランスを考えた時に、「金融・決済・フィンテック」周りはやはり1銘柄は持っておくべきでしょう。そう考えた時にグロース投資家としての選択肢はおそらく4つ。「Visa」「Mastercard」「Paypal」「Square」の4社になるはずです。どれも素晴らしい企業ですので、Squareの当記事及び他社の決算も見て1社選ぶのが良いかなと思います。
Square(スクエア)の事業概要
スクエアのコア事業は大きく2つあります。PoSシステム(左)とCash App(右)です。かつては、PoSシステムの売上が主軸でしたが、コロナ禍において前者が減速し、後者が大きく伸びたことで粗利益ベースではほぼ同じ割合になりました。今までPoSシステムのSquareという印象でしたがポストコロナの成長をリードするのはCash Appであることが期待されます。簡単に2つのビジネスについて深掘りしていきます。
PoSシステム ( コロナで減速)
・トランザクション手数料
・Square Capital(ファイナンス事業)
Cash App(コロナでも急成長)
・クレジットカード送金
・インスタント引出し
・小売業者への手数料
・ビットコイン売買手数料
PoSシステム
PoSシステムはSquareの創業時のビジネスです。左上の画像のように、誰でもクレジットで支払いを受けることができるハードウェアデバイスを開発し、これが爆発的ヒットになりました。その後、クレジット決済のデバイスからPoSシステムを中心とする小売・レストランをサポートするソフトウェアビジネスに発展していきました。画像の通りですが、PoSシステム、領収証、従業員の給料、請求書、など小売・レストランに必要な機能が一通り詰まってます。これらのソフトウェアの使用料は無料です。
ビジネスモデルは至ってシンプルで、トランザクション毎に2.6%と10セントの手数料を徴収してます。ハードウェアは基本的にそれほど高いものではなくほとんどが$50-$200程度で販売し、一番シンプルなものは1つ目は無料で配布してます。基本的にハードウェアではなくトランザクションの手数料で収益を上げています。
Square Capital
PoSシステムセクターでトランザクション手数料収入の次の大きなポジションを占めているのが、 Square Capitalです。SquareはPoSシステムを提供しているため、顧客のビジネスデータをほぼ全て把握してます。それにより、顧客に適切なファイナンスを銀行に先駆けて提供することが可能になってます。
Squareは顧客の問い合わせがなくても、過去のデータから自動で貸付金のオファーをソフトウェア上で常に提示しています。顧客は銀行へ行ってローンの相談をするのが煩わしいので、スクエアからあらかじめ借入金のオファーがあれば銀行よりも手軽で簡単というわけです。顧客はSquareのPoSシステムを使っているので、ローンの支払いはこのPoSシステムから自動で支払われます。
Squareを正しく理解するためには、単にPoSシステムを提供している会社ではなく圧倒的な与信情報をベースに金融ビジネスに軸足を移しているということです。ただし、コロナ禍において倒産する企業が増えているので貸し倒れ金を多く引き当てててる他、新たな融資を止めており、米国政府のPPPローンを代わりに実行しているためコロナ禍においてこのビジネスはかなり減速しています。
Cash App
Squareの2つ目の期間事業で、急成長しているのがCash Appです。主に若者向けを意識した個人間送金のアプリですが、Cash Appがどんなサービスかは上記動画を見てもらえればわかると思います。主に個人間の送金向けのアプリですが、Cash Appの機能は銀行口座と言ってもいいほど充実しています。振り込み用の口座番号もあるので給料などの振り込みに使える他、Cash App専用のキャッシュカードも作成可能です。
現時点では、銀行口座と紐づけることにより個人間の送金を可能としているアプリですが、将来的にはカジュアルな銀行口座というポジションを目指しているように思います。
急増する利用者
Cash Appは主に個人間送金で使われるアプリです。若者を中心に利用者が急増しており、2020Q2にはついに月間利用者は3000万人を突破しました。ライバルのVenmoが6000万人ですが、その増加速度はVenmoを凌いでいます。
2018年9月から2019年9月までのダウンロードランキングでは、送金アプリの中ではVenmoを抜き常に1位に位置してます。このトレンドは2020年も継続しており、引き続き個人間送金アプリではダウンロード1位を維持し続けてます。コロナ禍において、政府の支援金がを受け取ることができることも直近のダウンロードを大きく加速しました。
クレジット送金手数料
Cash Appの主な収益源の1つはクレジットカードによる送金手数料です。送金する際に、銀行口座の預金残高から送金する際は手数料がかかりませんが、クレジットから送金する場合は3%の送金手数料がかかります。
インスタント出金
Cash Appのユーザーは様々な経路から自身のアカウントに入金が発生します。例えば、バイト先の給料もそのうちの1つですし、他には友達との割り勘や、物品を売買した時の支払いもあるかもしれません。口座に入金されたお金はそのままだと使えないので、あらかじめ設定した銀行口座に出金することで使用が可能になります。
基本的に、この出金手数料は無料ですが、1−3営業日かかります。もし即日お金が欲しい場合は出金手数料1.5%がかかります。
キャッシュカード
銀行に送金することなく、キャッシュカードを作ることによって直接Cash Appからお金を引き出すことが可能です。カードを作るのは非常に簡単で、アプリから簡単に作ることができます。
こんな感じの黒くてかっこいいカードなんですが、右下のサインの部分はアプリ上でカスタマイズが可能です。こう言ったところも若者に受け入れられてる理由の1つです。
実はこれはかなり大きなビジネスに成長しており、このキャッシュカードを使うことで小売店から2.75%の手数料を得ているとのことです(これは公式発表ではなく、こちらの記事をソースにしてます)
また、このキャッシュカードでATMから直接現金を引き出すことが可能ですが、その際に手数料$2がかかります。
ビットコイン売買手数料
Cash Appは何と、ビットコインの売買をすることも可能です。売買するたびに、1.75%の手数料を徴収しています。
この機能は、将来的にビットコインによる貨幣通貨圏の構築を目指しているとも言われます。ファウンダーのJack Dorseyは熱狂的なビットコインのファンということも忘れてはいけません。
また、ビットコインだけでなく株式の売買もCashApp上で可能です。こちらは手数料をとっておらず収益化はできてませんが、将来的に信用取引なんかも視野に入ってるのかもしれません。
Twitter, Squareの両CEOを務めるJack Dorsey
Squareといえば、スタートアップ界隈でカリスマ的存在のJack Dorseyが率いる会社としても有名です。Jack Dorseyは2006年にTwitterを創業したのち、2009年にSquareを創業、現在も両企業のCEOを務めるチート級のファウンダーです。二足の草鞋が可能なのか?ということは今でも議論があります。
こちらの動画を見ていただければ、なんとなく彼の哲学が垣間見えるかもしれません。私もこの記事を書くまであまり知らなかったのですが、本当にかっこいいファウンダーですね。
Jack DorseyもZoomのファウンダーと同じタイプで、顧客の意見を徹底的に聞いて、アプリのUI/UXを過不足なく完璧に仕上げるタイプのファウンダーです。
“Make every detail perfect, and limit the number of details to perfect.”
「過不足なく細部まで徹底的にこだわれ(機能を入れすぎるな)“My goal is to simplify complexity. I just want to build stuff that really simplifies our base human interaction.”
「私のゴールはただ、複雑なものをシンプル化するだけだ。ただ、人が操作するUIをシンプルにしたい」“The greatest lesson that I learned in all of this is that you have to start. Start now, start here, start small and keep it simple.”
「私が学んだ最大の教訓は、今すぐ始めなさい。小さく始めなさい。常にシンプルにであること」
財務データ
売上:$1.92B ( 64% YtoY )
粗利:$597M ( 28% YtoY )
営利:-$11M
GPV: $22.8B ( -15% YtoY )
EBITDA: $98M ( -7% YtoY)
Squareのビジネスの数値の概要は上記になります。Squareのビジネスや収益モデルは多岐にわたるため複雑怪奇で、現在の状況を正しく把握することは少し困難です。
売上が64%YtoYと大きく成長してますが、これはビットコインの売上が大きく伸びたためで、ビットコインの仕入れがかなりかかっているため粗利としてはかなり低くなります。なので、現時点ではSquareを正しく理解するには、粗利益がどれだけ伸びているかに注目するのが良さそうです。
コロナ禍で粗利が28% YtoYとそれなりにのびているので、これは期待に反して大きく伸びたと考えられます。2大事業の詳細を見ていきます。
PoS Ssytem
*粗利が予想となっているのは、粗利率がCash App, PoSで別々で算出できないためです。そのため粗利益も公式の公表とズレます。またセクター別の粗利YtoYも正確に出せません。概要をつかむのに使ってます
PoSシステムは売上をおおよそ17%YtoYで落としています。原因としては4月−6月期において、アメリカをはじめ世界でロックダウンが行われたため、ビジネスのベースとなるトランザクション(GPV: $22.8B -15% YtoY )が大きく減少しました。7月ベースの数字ではロックダウンも徐々に解除され、前年同期比で+5%まで回復しているとのことです。クレジットカードによる決済は引き続き前年同期比で減速してますが、代わりにオンラインのトランザクションが増えてるとのことです。
また、Square Capitalも一時的に貸し付けを停止しており、代わりにアメリカ政府のPPPローン(事業者向け支援ローン)をSquareを通じて融資しています。こちらはアメリカ政府の事業になるため、Squareには社会的意義の方が強いでしょう。Square Capitalの貸し付けは7月より徐々に始めてますが、前年同期比ベースではかなり減速しているとのことです。このセクターにおける売上減はSquareにとって痛手となりそうです。
Cash App
売上:1,200M ( 360% YtoY)
売上(ビットコインを除く): 325M( 142% YtoY)
粗利:270.1M ( 167% YtoY)
*粗利が予想となっているのは、粗利率がCash App, PoSで別々で算出できないためです。そのため粗利益も公式の公表とズレます。またセクター別の粗利YtoYも正確に出せません。概要をつかむのに使ってます
一方で、PoSシステムの売上減少を大きくカバーしたのがCash Appによる売上です。ビットコインの売上が前年同期比で+600%で正確な値がわかりづらくなってますが、粗利益ベースでは公式発表で167%も伸びておりかなり順調です。ビットコインを除いた売上がYtoY 143%成長で粗利率の高いサービス手数料の増加がかなり成長を後押ししています。
もっとも、これは4月−6月にかけて経済支援金がCash Appにかなり入金されたことを受けてこれだけ伸びているとのことです。7月も引き続きMonth to Monthで強い成長が確認できているとのことです。
経済支援金による特需は気になりますが、参考までにコロナ直前の決算である昨年2019年の9月ー12月期は粗利がYtoY147%で伸びている事業なため、本質的にCashAppはかなり成長している事業と言えそうです。成長力は衰えるかもしれませんが、経済支援金の特需が落ち着いた後も力強い成長が期待できそうです。
その他費用など
その他、R&Dとマーケティングにおいては、グロースにありがちの粗利の中から全力で使い切るプレイのように思えます。粗利を35%ずつ使っている感じなのでそこまで悪くはない感じだと思います。
コロナによって事業が悪化している小売店が多く、Q1に引き続き貸倒損失(Transaction and loan losses)を計上しています。2020年の上半期で例年の3倍の貸し倒れ引当金を計上したとのことです。
Q1はかなりの引当金を計上したので、EBITDAベースでかなり減少しましたが、Q2はそれほど大きくなかったのである程度回復してきています。
まとめ
書きたいことはいろいろ多かったのですが、Squareは事業が本当に多岐にわたるので今回はここでやめておきます。
全体幹としては、コロナで経済悪化が進む中、PoSシステムのビジネスは大打撃を受けているものの、4−6月で底をうち徐々に回復していくのではないかなと思います。ワクチンができて経済活動が再開すればSquare Capitalの売上も徐々に回復していくでしょう。
一方で、Cash Appはかなり順調と評価することができそうです。個人間送金だけでなく、簡易的な銀行の機能やビットコイン、株の売買までできるので、個人のお金に関する手続きは本当Cash Appひとつで事足りそうです。個人的には、クレジットカードで他人に送金させて、それを株やビットコインで売買させて、収益はキャッシュカードで引き出せる。そして、それぞれのトランザクションで手数料をきっちりいただくというSquare経済圏はかなりポテンシャルのある経済圏ではないかなと考えてます(上品に書きましたが、本当骨の髄までしゃぶる恐ろしい事業だなと思います)。アメリカでも米国株やビットコインの売買はコロナ以降大ブームなので、これらのトレンドもCashAppの利用を大きく引き上げる可能性が高そうです。
2020年の8月には、Cash Appで個人に最大$200を融資するテストまで始めてます。まさにSquareはフィンテックを代表する企業と言えそうで、Cash AppとPoSシステムのビジネスを活用して手数料と貸付によって様々な収益の柱があるのが強みかなと思います。一般的なグロース企業違って様々なビジネスの打ち手が多いのも魅力的ですね。今回コロナ禍によってPoSが打撃を受けるので減速するかなと思いますが、Cash Appでの大幅売上・粗利増で見事にカバーしました。
私はすでにSquareはPF保有率4.5%ほどです。もともとPaypal派でしたが、前回の決算がYtoYで20%強とあまり強くなかったのと今回の暴落でかなり売り込まれたのに比べSquareの方が決算も株価も強かったので本格的に乗り換えることにしました。
フィンテックの王道とも言えるビジネスをしているので長期的にはPaypal級の時価総額$200Bを目線としては目指すのかなと思いますが、若干コロナ禍の影響や経済支援金特需からの減速など次の決算も気になります。株価的にはやや割高なと考えており決算前には含み益が10%はないと少し決算を超えるのが怖いかなと思うので、含み益に気をつけつつ大きな調整が入った時など押し目でコツコツと拾うように投資して行こうかなと思います。次の決算までにPF保有率4% – 7%くらいをめどに考えています。ただ、本質的にはCash Appの粗利がYtoYで167%も伸びている異常な成長なのでそこのポテンシャルに賭ける価値はあるのかなと思います。
今後もよろしくお願いします
最後に、投資はあくまでも自己責任でお願いします。今後も良い記事を書いていきたいので、引き続き応援よろしくお願いします。
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